【読書メモ】ナオミとカナコ ★★★★☆(ネタバレあり)

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ナオミとカナコ あらすじ

ナオミの章

親友の加奈子が夫・達郎のDV被害にあっていることを知った直美は、
達郎の「排除」を計画する。

達郎に瓜二つの中国人・林
認知症の老人・斎藤夫人 など、次々と「排除」のための
キーパーソンが揃っていく-

カナコの章

無事達郎の「排除」に成功した直美と加奈子だったが、
達郎の妹・陽子の執拗な調査により、次々とボロが出始める。

ATMから現金を引き出す瞬間が、防犯カメラに写っていたり。
中国に帰ったはずの林が、なぜか池袋に戻ってきていたり。

完全犯罪と思っていたため、焦る二人。
最後はついに警察への任意同行を求められ、海外への脱出を図るが-

ナオミとカナコ ネタバレ感想

さすがテレビドラマ化されただけあって、めちゃくちゃ面白いです。
一般的なミステリとは違い、犯人は初めからわかっています。
そして、その犯人である直美と加奈子の心理状態にフォーカスした作品です。

ナオミの章・カナコの章とは

本作は、前半が「直美の章」、後半が「加奈子の章」となっています。
実際読み進めていくと、一人称の視点が直美から加奈子へ移っていくことがわかるでしょう。

前半は、DVに苦しむ加奈子を救うため、直美が策を練り、加奈子を支えているシーンが多いです。
しかし後半、陽子や興信所・警察に追い詰められた加奈子が
直美に助けを求めても、直美は出張で不在のことがほとんど。

そんな中でも、加奈子はどんどんたくましくなっていき
警察をあしらうまでに図太くなっていきます。

最後、陽子から逃げる場面こそ、まさに加奈子の真骨頂。
不安がる直美に対し、加奈子は一人で陽子を欺き、ついに逃げ切ることに成功するのです。

なぜ加奈子は強くなったのか

後半、加奈子は自身の妊娠に気づきます。
それは、排除した夫・達郎との子。

しかし加奈子は、

ショックを受けるのかと思ったら、そうではなく、意外と淡々としていた。それは諦念とか開き直りとかいった感情とは異なり、もっと別次元の動物的本能と言えるものだった。母になる-。そのことが強力な光となり、周りの景色を真っ白にしたのだ。
(ナオミとカナコ P361)

と、意外に冷静に受け入れています。

クライマックス、海外への脱出を図る際にも、

加奈子には周りの風景が淡色に見えた。駅構内のさまざまな音も、くぐもって聞こえる。まるでこの世界にいることを拒絶するように。そしておなかの中から、赤ちゃんの胎動を感じた。まだ妊娠初期で、ありえないことなのに、はっきりと感じた。
(ナオミとカナコ P433)

とありますので、自分が母親になるということを自覚し、精神的に強くなったのでしょう。
作品中で加奈子の赤ちゃんについて触れたのは上記の箇所が最後ですが、
きっと直美と二人で育てていくのでしょうね。

ナオミとカナコ、ドラマを観てからでも十分楽しめます

ドラマのキャストは本当に素晴らしいと思います。
特にナオミは、ずっと広末涼子をイメージしながら読み進めていました。

ドラマを視聴済の方にも、お勧めできる一冊です。

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