森・林・森林の違いとは

森林

島国であり、海に囲まれている国である日本ですが、実は森林率が高い国であることをご存知でしょうか?
農林水産省・林野庁の発表では、実に日本の土地の67%が森林です。

※出典:林野庁/都道府県別森林率・人工林率(平成24年3月31日現在)

ところで、「森林」という日本語の意味、正しく理解できていますか?「森」「林」「森林」と、似た言葉が多くありますよね。そこで、それぞれの言葉の違いを調べてみました。

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森と林の違いとは

辞書上は、規模が異なる

本棚

三省堂 大辞林で「森」「林」それぞれを調べてみました。その結果、森のほうが林より木々の密集度・規模が大きいということが判明。

漢字のイメージのとおり、木の数が多いのが森 ということでした。

森とは林とは
①樹木が多くこんもりと生(お)い茂っている所。 「 -の都」 「 -に入って木を見ず」

②特に,神社をかこむ木立。 《杜》 「鎮守の-」

①樹木がたくさん群がって生えている所。樹木の群落。「森」にくらべて,木々の密集の度合が小さく,小規模の群落をさすことが多い。 「白樺の-」

②物事が多く集まっている状態を林に見たてていう語。 「辞(ことば)の-」 「アンテナの-」 「月の舟星の-に漕ぎ隠る見ゆ/万葉集 1068」

※出典:森とは – Weblio辞書
林とは – Weblio辞書

人工かどうかの区分は誤り?

林業

一方、人の手が入っているかどうかで、森と林を区分しているサイトもちらほら。

まず、結論を出しておこう。人の手の入っているのが 「林」 で、自然に生えているのが 「森」 である。原則的には、これで間違いない。

※出典:「森」と「林」の違い 語源により、日本人の太古の感性に迫る

しかしこの定義をしてしまうと、「原生林」と「人工林」という言葉が存在することの説明がつかなくなってしまいます。。

念のため、「原生林」を辞書で調べてみましょう。

デジタル大辞泉昔から現在まで、一度も人手が加えられたことのない、自然のままの森林。原始林。
三省堂 大辞林伐採や山火事などによって破壊されたことのない,自然のままの森林。原始林。処女林。

※出典:原生林(ゲンセイリン)とは – コトバンク

やはり、原生林は「人の手が入っていない林」のことのようですね。林=人の手が入っている だとすると、人工林というフレーズは矛盾した用語になってしまいます。

もっとも上記ブログの方も

ここで白状しておくが、「林」 の語源が 「生やし」 だというのは、誰に直接教わったわけでもなく、直観的思いつきなので、多分正しいだろうという自信はあるが、私にとってはあくまでも 「仮説」 にすぎない。それがいつの間にか、こんなに広まってしまって、もし私が間違ってたらどうするんだ。知ーらないぞ、知らないぞ。

※出典:「林」 が 「生やし」 ということは: tak shonai’s Today’s Crack

と述べていますので、おそらく出典のない情報がWeb上で広まったのでしょう…。

農林水産省は「森林」を定義している

法律

上記の、人の手が入っているかどうかで「森」「林」を分類するという説について、Web上では農林水産省が定義したとする記事も多く見かけます。

そこで、農林水産省・林野庁が制定した「森林法」という法律を見てみましょう。

森林法に「森」というフレーズはでてこない

昭和26年(1951年)に制定された森林法では、「森林」という用語が以下の通り定義されています。

第二条  この法律において「森林」とは、左に掲げるものをいう。但し、主として農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地及びこれらの上にある立木竹を除く。
一  木竹が集団して生育している土地及びその土地の上にある立木竹
二  前号の土地の外、木竹の集団的な生育に供される土地

2  この法律において「森林所有者」とは、権原に基き森林の土地の上に木竹を所有し、及び育成することができる者をいう。

3  この法律において「国有林」とは、国が森林所有者である森林及び国有林野の管理経営に関する法律 (昭和二十六年法律第二百四十六号)第十条第一号 に規定する分収林である森林をいい、「民有林」とは、国有林以外の森林をいう。

※出典:森林法

しかしこの法律の中では、「森」という単語は一切出てきません…。農林水産省は「森林」「林業」というフレーズのみを使用しており、少なくとも私が調査した限りでは、農林水産省が「森」と「林」の違いを定義したという事実は確認できませんでした…。

森林は、木だけでなく土地も含む言葉

森林法をもう一度見てみましょう。「木竹の集団的な生育に供される土地」も、森林であると定義されていますね。つまり、木々の規模・密集度を問わず、ある程度木が集まっていれば「森林」と定義できることになります。

まとめ:森と林と森林の違いとは

ここまでの内容をまとめると…木の集まりの規模に応じ、
・大規模:森
・小規模:林
・規模問わず:森林

といえることができそうですね。

nopatokyo
おわりに
「森 林 違い」などで検索すると多くの記事がヒットするのですが、ほとんどの記事に出典がなく、根拠のある情報にたどり着くのが非常に大変でした…。機会があれば、農林水産省にも直接問い合わせてみたいところです!
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